滋賀県立甲南高等養護学校
   校長  奥村 恭代

 甲南高等養護学校は、知的障害がある生徒で日常生活や通学が独力でできる者に対し、社会的・職業的自立をめざすこと、併設する甲南高等学校の生徒と互いに多様性を認め尊重し合うことを教育理念として平成19年度に開校し17年目を迎えた特別支援学校です。

 3年間の学校生活をとおして、基本的な生活習慣の確立や基礎学力の定着を学びの土台とし、人と関わることや集団に身を置くことの経験を繰り返しながら、社会に踏み出す自信を身に付けていくことになります。我々教職員は生徒の「働きたい」という思いに応えるため、他人や他校と比べるのではなく生徒一人ひとりがどのように成長したか、毎日の挨拶に始まり様々な方向から注目しています。

 具体的な教育内容として、学校の学科名が「普通科」から「しごと総合科」となり4年が経過しました。1年生から農業、福祉、調理などの専門教科の基礎を学び、2年生からは2つの選択、農業ものづくりコースと福祉くらしコースに分かれて学習します。また、「働くことの喜び」を感じるため、地域や企業との連携を図り、1・2年生では職場見学や就業体験、3年生では職場実習に取り組みます。校外行事も大切にしており、これまでに京都自主研修、若狭宿泊研修、東京や北九州方面へ修学旅行を行ってきました。

 さらに生徒は、甲南高等学校の生徒と同じ制服、同じ校時で学校生活を行い、学園祭や部活動も一緒にするなど交流しています。校歌も同じで、その4番には『甲南の空仰ぎつつ真理を慕う大地の子 友情深く健やかに正しき道を歩まなむ 甲南甲南光あれ』とあり、障害のある者とない者が共に学び共に成長できる魅力ある学校づくりを進めています。
 令和4年度にはこれらの取り組みが高く評価され甲南高等養護学校、甲南高校ともに「滋賀県インクルーシブ教育賞」を受賞しております。

 今後とも、高等養護学校と高等学校が同じ校地に並び立つ県立学校として、社会で生活していく力の育成、地域に貢献できる人材の育成に尽力してまいりますので、本校教育活動にご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。            

 令和5年 4月